2021/12/13
「住宅診断」を数多く実施して
不適合事象の原因追求をして来たから分かる
施工未済や施工不良 そして自然の力など
インスペクターから見た住宅設計とは・・・
「泣き寝入り」や「後悔」しない様に
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今回は、<24時間換気扇の設置場所は慎重に!>についてお話をします。
今日のお話は
以前
相談が有ったLDKにカビ発生の件で
何故
LDKにカビが発生するのか?
このカビが発生する原因と
24時間換気扇とは関係が有るのか?を
検討してお話をしてみます。
その前に
何故
24時間換気扇を設置しなくてはならなくなったのか?
等の説明からしてみます。
いきなりですが
シックハウス対策のための規制導入は
建築基準法で
平成15年7月1日に施行された規制です。
内容を簡単に説明しますと
シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるため
建築物に使用する建材や換気設備を規制する法律です。
住宅の場合の24時間換気の対象は
居間・LDK・洋室・和室などの居室になります。
この建築基準法の概要は
①ホルムアルデヒドに関する建材、換気設備の規制
②クロルピリホスの使用禁止(シロアリ駆除剤)
の二つです。
で
24時間換気扇は
①の換気設備の規制で設置する事から義務付けられ
つまりメインは
木質建材等に使用されている接着剤の中に含まれている
「ホルムアルデヒド」対策と当時は考えていました。
今現在の住宅業界では
仕上げ材の内装制限として
「F☆☆☆☆」の表示がされていないものは
ほぼ無いと言っても良いと思います。
と言っても
「ホルムアルデヒド」がゼロになった訳ではないのですが・・・・。
だとしても
規制範囲内の建材を使用しているにも関わらず
何故この法律が続くのでしょうか?
と色々と考えて調べてみると
シックハウス症候群の原因として
住宅の高気密化・高断熱化などが進み
化学物質による空気汚染が起こりやすくなっているほか
湿度が高いと細菌、カビ、ダニが繁殖しやすくなります。
それだけではなく
一般的な石油ストーブやガスストーブからも
一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質が放出されます。
たばこの煙にも有害な化学物質が含まれています。
と厚生労働省のホームページに記載されています。
ゆえに
まだ24時間換気扇の設置が必要との事みたいです。
ここから
今日の本題に入ります。
最初にカビを簡単に説明します。
カビが発生する条件として
①空気(酸素)
②温度(20~30度で25~28度が最適)
③湿度(60%以上で80%以上で一気に繁殖)
④栄養(ホコリ、汚れ、ダニなど)
の4要因が揃った場合にカビが発生します。
この条件が揃う季節は
梅雨時ぐらいかな?と思っていたのですが
住宅環境が良くなって来ているので
場所によっては
一年を通してカビの生育シーズンの様ですね!
で
上記の「シックハウス症候群の原因」の中に
カビも原因の一つに挙げられていますが
この建築基準法に沿って
24時間換気扇を設置しているにも関わらず
何故
LDKにカビが発生するのか?
換気をしていれば
カビの発生要因の一つである
湿度は60%以上にならないのでは?
ごく一般的な
一戸建ての木造住宅のLDKなのに・・・・。
湿度が60%未満にならない原因は何だろうか?
って図面と睨めっこしていて気が付いた事が有りました。
それは
24時間換気扇と吸気口との関係です。
今回の場合は
24時間換気扇が有る洗面脱衣室の入り口から
2mも離れていない位置に
吸気口が設置されているのです。
なので
LDKの空気の一部分しか換気されていないと考えたのです。
つまり
2mの距離に有る空気だけが移動して
その他の空気が滞留していると考えたのです。
これが原因で
LDKにカビが発生したと推測する事が出来ます。
それと
もう一つの原因として
この住宅は高断熱・高気密の住宅ではないので
洗面脱衣室の床下から上がっている給排水配管廻りからの
漏気が多いと考えますので
洗面脱衣室の換気扇が
LDKの空気まで吸引していない可能性が大きいのかな?
とも考えています。
皆さんはどの様に思われますか?
来週
相談者が再度来られますので
この内容を説明しようと考えています。
という事で
今日の纏めとして
24時間換気扇の設置場所は
洗面脱衣室又はトイレに設置する事が多いと考えます。
この場合は
どうしても床下からの給排水配管が
床断熱材を貫通しますので
配管廻りのすき間を
発泡ウレタン等で塞ぐ事などを実施して
洗面脱衣室の気密性を高めて
24時間換気扇の吸引力を高める事が必要です。
もう一つは
24時間換気扇と吸気口の配置を
対角線上に設置する様に考える事が重要ですね!
換気導線をシッカリ計画すれば
居室全体の空気が動きますので
居室内にカビが発生する事は減少すると考えます。
今日のお話は、参考になったでしょうか?
今回は、これで終わります。
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「Y&Y住宅検査」が お客様に提供させて頂くサービスとは、
ただ単に不適合事象の有無を調査するのではなく、
もし不適合事象が有れば、
その原因をより詳しく目視の範囲内で追及し、
不同沈下などの傾きが有れば、
建物全体の傾きなどの傾斜傾向を図面にて表現する事で、
より分かり易く建物の現況を報告書に纏め、
お客様が、安心・納得して購入する事が出来る様に
説明するサービスを提供させて頂いています。
ここでの「安心・納得」とはどの様な意味なのかと言いますと、
安心とは、不適合事象が無い事で安心。
納得とは、不適合事象が事前に分かる事で納得。
住宅診断とは、この二つを得る為の手段だと考えています。
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