2021/12/11
「住宅診断」を数多く実施して
不適合事象の原因追求をして来たから分かる
施工未済や施工不良 そして自然の力など
インスペクターから見た住宅設計とは・・・
「泣き寝入り」や「後悔」しない様に
住宅プラン作成の応援をして行きます!
今回は、<基礎の鉄筋かぶり厚さが心配?>についてお話をします。
「基礎の鉄筋かぶり厚さ」が
「キーワード」とか「キーフレーズ」でよく検索されています。
SNS等で検索してみると
ある記事に
鉄筋のかぶり厚さが1cm足らなかったので
工事をやり直させたと言う記事などを目にすれば
自分の家はどうなのか?って不安になると思います。
という事で
今日のお話は
今から購入する新築分譲住宅の基礎の
鉄筋かぶり厚さは大丈夫なのか?
または
注文住宅を建てている方で
インスペクターに
鉄筋検査を依頼していなかったので
後から不安になっている方の為に
お話をします。
最初に
鉄筋コンクリートの劣化とは
コンクリートは当初はアルカリ性という事は知っていると思います。
コンクリートは
空気中の炭酸ガスを吸収して中性化して行きます。
一般的に良く使用されるお話として
年に0.5㎜ずつ中性化する言われています。
コンクリートが中性化しても
コンクリート自身の強度が弱まるのではなく
空気や水が浸透し易くなる事で
鉄筋が劣化(サビの発生)するのです。
鉄筋がサビた場合は体積が膨張し約2.5倍になり
コンクリートにひび割れが入り
またはコンクリートが爆裂してしまいます。
で
木造住宅の基礎立上り部分の
鉄筋かぶり厚さが40㎜ですので
この計算で行けば
80年で鉄筋に中性化が到達し
そこから鉄筋が酸化してサビる事になると言う事です。
この0.5㎜ / 年の中性化の根拠は分かりませんが
大きな間違いでは無いと考えます。
ここで
鉄筋コンクリート造の耐用年数が47年と聞く事は有りませんか?
だから80年はおかしいと言われる方もいます。
この耐用年数47年とは
建物の減価償却の計算に使用される年数で
正式には
法定耐用年数と言います。
つまり
鉄筋コンクリートの寿命とは違います。
因みに
47年と言うのは
鉄筋コンクリート造の住宅用の耐用年数で
事務所用で有れば50年です。
話が反れましたので戻します。
ここから本題に入ります。
住宅の基礎のかぶり厚さは
建築基準法の施行令第79条に規定が決められています。
下記資料①は
JASSのかぶり厚さの資料です。
上記資料①にも記載されていますが
建築基準法施行令第79条に記載している
鉄筋かぶり厚さの
規定は遵守しなければなりません。
インスペクターに
基礎鉄筋検査を依頼していなければ
少し心配ですよね! ☜ それほど心配は無いと考えます!
では
鉄筋の配筋やかぶり厚さの検査は
誰が検査をしているのでしょうか?
一般的な木造住宅等の場合は
住宅瑕疵保険を付保しますので
住宅瑕疵保険法人の検査員が
必ず
基礎の鉄筋配筋検査を実施しているはずです。
住宅瑕疵保険法人の
検査員が検査しますので
人為的ミスが無いとは言い切れませんが
今迄の検査員の検査内容を見れば
cm単位でのかぶり厚さ違いを見逃す事は
無いと考えています。
基礎配筋全部をチェックする事が
出来ない事に対しても
瑕疵保険を付保する事になります。
これが住宅瑕疵保険の検査なのです。
何が言いたいのかと言うと
インスペクターに依頼しても
ほぼ同じ結果になり
重箱の隅をつつく様に
1㎝未満の㎜単位の事を
チェックするだけになると考えています。
それよりも
1㎝未満の㎜単位の範囲の事だけで有れば
コンクリートの中性化を速まらせる原因の一つ
建物の不同沈下などによる
ひび割れ等の不具合が起きるかどうかのチェックを
依頼された方が良いと考えます。
何故ならば
ひび割れ部分から侵入した空気(湿気)が
鉄筋に接する事でサビが発生し
鉄筋コンクリートの劣化原因になるからです。
それでも
鉄筋のかぶり厚さが心配で有れば
対応策として
基礎表面にコンクリートの中性化を遅らせる為の
塗装を施せば安心かと考えます。
建物が完成していても施工が出来ますので
工事を後戻りさせる必要は有りません。
例えば
下記写真①の様な
菊水化学工業の「基礎ガード」などがお勧めです!
今日の纏めとして
「基礎の鉄筋かぶり厚さ」が
「キーワード」とか「キーフレーズ」でよく検索されています。
これは何を物語っているかと言えば
建物の工事の中で
基礎工事の配筋・かぶり厚さが
大変重要だと考えている方が多いのかな?
基礎工事は重要だという事は間違いないですが
基礎配筋検査(鉄筋かぶり厚さ)は
構造計算で基礎配筋を決めている建物以外は
住宅瑕疵保険の検査員にお任せするとして
それよりも
誰も検査をしない工程で
それでもって
住宅にとって重要な
「断熱材充填検査」と「外部防水下地検査」
に重点を置かれた方が良いと考えます。
今日のお話は、参考になったでしょうか?
今回は、これで終わります。
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「Y&Y住宅検査」が お客様に提供させて頂くサービスとは、
ただ単に不適合事象の有無を調査するのではなく、
もし不適合事象が有れば、
その原因をより詳しく目視の範囲内で追及し、
不同沈下などの傾きが有れば、
建物全体の傾きなどの傾斜傾向を図面にて表現する事で、
より分かり易く建物の現況を報告書に纏め、
お客様が、安心・納得して購入する事が出来る様に
説明するサービスを提供させて頂いています。
ここでの「安心・納得」とはどの様な意味なのかと言いますと、
安心とは、不適合事象が無い事で安心。
納得とは、不適合事象が事前に分かる事で納得。
住宅診断とは、この二つを得る為の手段だと考えています。
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