2022/01/15
このブログは
住宅診断及び住宅設計を通して知り得た情報を
住宅診断の一環として
住宅を購入または計画中の方が
泣き寝入り(又は後悔)しない様に
注意喚起の為にアップしています。
今回は、<隣地境界線の現況には要注意ですよ!>についてお話をします。
今日のお話は
前回のブログ「不同沈下」と関連している
お話をしてみます。
なので
既存住宅(中古住宅)の購入を考えている方は
参考にして下さいね!
既存住宅(中古住宅)の見学の為に
現地に行った時に
まず最初に見て頂きたいのは
敷地の隣地境界線廻りです。
下記写真の様な不具合事象を確認した場合は
ほぼ間違いなく
その建物が「不同沈下」している可能性が大きいので
契約前に必ず
「不同沈下」の傾斜傾向及び傾斜程度を
インスペクターに依頼して確認して見て下さい。
「建物状況調査」的なインスペクションでは
「不同沈下」の特定や原因迄は報告しない場合が多いので
依頼をする前によく確認して下さいね!
では
具体的に何を見るのかを
下記写真で説明をして行きます。
下記写真①を見て下さい。
これは隣地のブロック塀ですが
ブロック塀の基礎部分にひび割れが見えるでしょうか?
そのひび割れの上部のブロック積みの
目地も割れています。
この建物の敷地の
写真で言えば左側の隣地境界線側に
4m以上の崖が有り
建物がその崖側に「不同沈下」していました。
床の計測結果は
崖側に最大12/1000以上有りました。
もし
上記写真①の様な
ブロック塀と建物の距離が1m弱位であれば
そのひび割れ近く接している
建物側の基礎にひび割れが入っていないかを
確認してみて下さい。
基礎にひび割れが入っている様であれば
そのひび割れの原因は
地震の揺れによって崖側に「不同沈下」したと考えられます。
広島市内の平成13年(2001年)以前に
完成している既存住宅(中古住宅)で有れば
芸予地震が原因と考えられます。
上記写真②は
ブロック塀の上から見た写真です。
石積みの上にブロック塀が積まれています。
石積みの高さが1.6mで
その上に厚さ150㎜のブロック4段積みの上に
厚さ100㎜のブロック4段積みです。
敷地地盤からブロック天端迄は900㎜程でした。
石積みを確認して見ると
石積みが少しズレていて
石と石の間のすき間が広くなっている箇所を確認しています。
この建物も
上記と同じ地震による
石積みのズレと同時に
ブロックにもひび割れが入ったと推測します。
建物全体が
この石積みの方へ傾斜していて
「住宅診断」実施当時で築40年でしたので
基礎には無筋と思われ
1.0㎜以上のひび割れが11か所確認しました。
床の傾斜計測では
辛うじて6/1000は未満でしたが
壁の傾斜は
最大10/1000を確認しています。
上記写真③は
コンクリート擁壁のひび割れです。
ひび割れ幅は1.40㎜以上を計測しています。
写真では見にくいのですが
擁壁のひび割れ近くの
化粧ブロックの継手部分に目地割れを確認しています。
これも地震が原因なのか?
この擁壁と建物の距離は
2m位有りましたが
その擁壁に向かって
建物の半分が最大16/1000の床傾斜を確認しています。
「不同沈下」の原因を考えた場合
この擁壁が地震によって動いてひび割れが入り
擁壁が外側に動いた事で敷地の地盤が沈下したのか?
それとも
造成によって埋め立てた側の地盤の転圧が悪くて
敷地が半分沈下したのか?
のどちらかと考えます。
どちらにしても
広島県の場合は
築30年以上の住宅(平成になる前後以前)は
地盤調査も
今の様に普及していなかった?
と考えられますので
地盤調査の結果報告書から
今現在の様に地盤補強補強の有無は
ほぼ検討していなかったと考えられます。
ゆえに
既存住宅(中古住宅)の場合は
「不同沈下」の有無と
もし「不同沈下」が有った場合の原因調査が
大変重要と考えています。
という事で
今日のお話は、参考になったでしょうか?
今回は、これで終わります。
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「Y&Y住宅検査」が お客様に提供させて頂く住宅診断とは、
ただ単に不適合事象の有無を調査するのではなく、
もし不適合事象が有れば、
その原因をより詳しく目視の範囲内で追及し、
不同沈下などの傾きが有れば、
建物全体の傾きなどの傾斜傾向を図面にて表現する事で、
より分かり易く建物の現況を報告書に纏め、
お客様が、安心・納得して購入する事が出来る様に
説明するサービスを提供させて頂いています。
ここでの「安心・納得」とはどの様な意味なのかと言いますと、
安心とは、不適合事象が無い事で安心。
納得とは、不適合事象が事前に分かる事で納得。
住宅診断とは、この二つを得る為の手段だと考えています。
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