2022/03/29
このブログは
住宅診断及び住宅設計を通して知り得た情報を
住宅診断の一環として
住宅を購入または計画中の方が
泣き寝入り(又は後悔)しない様に
注意喚起の為にアップしています。
今回は、<「柱の直下率」以上に重要なのは「構造区画」ですよ!>についてお話をします。
今日のお話は
新築分譲住宅の購入を考えて
インスペクションを依頼される方は
柱・耐力壁の直下率も一緒にチェックして見ませんか?
と言うお話です。
新築分譲住宅の「住宅診断」で
2階の床の傾斜計測が良くなかった物件で
原因は
2階の載りが悪かったという事で
「住宅診断」の報告書をしていた物件です。
改めて
CADソフトで柱の直下率の検証をしてみました。
下記図面①を見て下さい。
2階廊下と洋室との境の床の傾斜測定値が
図面を見て下側の床傾斜基準を±0とした場合
最大で6㎜下がっています。
床の傾斜は2/1000なので
品確法の6/1000と比べたら大した事は有りませんが
まだ完成して間もない
人が住んでいない新築住宅ですよ!
もうこの時点で
4.5帖の狭い部屋で6㎜もの傾斜が付いているのです。
一般的な「建物状況調査」的なインスペクションで有れば
上記図面①の様な
床の計測点を計測する事が無いので
床の傾斜が最大2/1000が計測されました。
という報告で終わりでしょうね!
判定基準の許容範囲だから
もしかしたら
問題が有る床の傾斜は有りませんでした。
で報告をされるかも知れませんね!
で今回は
この建物の直下率を
CADソフトで計算した見ました。
その結果が
上記資料①になります。
最初に見て貰いたい所は
壁の直下率が33.75%になっています。
1階と2階の壁が一致している部分が
青色になっている部分です。
ほぼ外周のみという事が分かります。
ここで
よく聞く話で
総2階の建物だから
耐震性が良いと思われがちです!
しかし
この建物の直下率の数値が物語っています。
柱の直下率は39.62%は
分譲住宅では良い方ですが
問題は
外周以外の2階の壁の直下率は
ほぼ0%に近いという事が分かります。
「構造区画」を考えた場合
「構造区画」の基本的な考えの
梁の両端を柱で支える事が基本ですが
この建物の場合は
4.5帖の2室の縦の4壁ラインの梁には
見事に1本も梁を支えている柱が有りません。
信じられない事ですね!
この建物の「住宅診断」を依頼された方は
この建物を契約しませんでしたので
今この様に検証してみて改めてホッとしています!
しかし
この新築分譲住宅を購入された方がいます。
皆さんは
どう思われますでしょうか?
今日の纏めとして
柱の直下率は耐震性の事を考えた場合は
大変重要ですが
それよりももっと重要なのが「構造区画」です。
これがキチンと出来ていなければ
2階の床の傾斜の原因になります。
という事で
今日のお話は、参考になったでしょうか?
今回は、これで終わります。
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「Y&Y住宅検査」が お客様に提供させて頂く住宅診断とは、
ただ単に不適合事象の有無を調査するのではなく、
もし不適合事象が有れば、
その原因をより詳しく目視の範囲内で追及し、
不同沈下などの傾きが有れば、
建物全体の傾きなどの傾斜傾向を図面にて表現する事で、
より分かり易く建物の現況を報告書に纏め、
お客様が、安心・納得して購入する事が出来る様に
説明するサービスを提供させて頂いています。
ここでの「安心・納得」とはどの様な意味なのかと言いますと、
安心とは、不適合事象が無い事で安心。
納得とは、不適合事象が事前に分かる事で納得。
住宅診断とは、この二つを得る為の手段だと考えています。
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