2018/03/30
今回は、これからの「住宅診断」についてお話をして行きます。
宅建業法改正に伴うインスペクション業者斡旋でインスペクションをする場合の「建物状況調査」が、
今後売主サイドで実施されて行くと考えられます。
この「建物状況調査」が何故、売主サイドのインスペクションになるのか?
その理由は、インスペクション業者の斡旋時期に深く関わっています。
売主様に対しては、媒介契約時にインスペクション業者の斡旋をし、インスペクションを実施する時間が有りますが、
買主サイドに対しては、慣例上契約時に媒介契約をしますので、その時にインスペクション業者の斡旋の可否を問う事になります。
現実的に「建物状況調査」を買主サイドが出来る流れでは有りません。
ゆえに、「建物状況調査」は、売主サイドが実施するインスペクションを指す事になるでしょう。
売主サイドで「建物状況調査」を実施した場合は、
中古住宅の契約時に一緒に説明される重要事項説明時に、
買主サイドに対して「建物状況調査」の結果報告をして行きます。
「建物状況調査」の結果報告と言っても、とても簡単な内容です。
例えば、外壁に劣化事象が(有る、無い、調査できなかった)のどれかにチェックが入っているものを、宅建士が説明するだけです。
もし、有るにチェックがしていれば、売主・買主双方が確認をします。
ただそれだけです。
例えば壁の劣化事象がひび割れで有った場合、そのひび割れがどんなひび割れなのか?直ちに補修しないといけないひび割れなのか?等の説明はしません。
何故ならば、説明をする宅建士が、そのひび割れが0.50mm以上のひび割れで有る事しか分かりません。
熱心な宅建士で有れば、事前に建物状況調査をした建築士に聞くでしょう。
しかし、実際に「建物状況調査」を実施する建築士の殆どが、1日の講習で資格を取得しただけで、インスペクションの実務を経験した事が無い建築士です。
その建築士に確認しても、インスペクションの経験が無い(少ない)建築士には説明できないと思われます。
インスペクションは、経験を積む事(実際の事象を沢山診る事)がとても重要です。
ひび割れ一つ取っても、問題が潜むひび割れなのか、
そうでないひび割れなのかが判断出来るようになります。
経験を積んでいない建築士に宅建士が質問しても、答えられないので、
買主サイドには、ひび割れが有る事だけの説明になります。
ここで、劣化事象が有る場合は、売主・買主双方で確認しますので、
その時点で、この劣化事象を直して欲しいとキチンと意思表明する事が必要です。
意思表明をしなかった場合は、
「建物状況調査」の結果報告を聞いて納得して契約をした事になり、
後から、そのひび割れが原因で不具合が出たとしても、
瑕疵にならないので対応はしてもらえない事になりますので、注意が必要です。
<<ここから、今回の本題に入ります。>>
今回の「建物状況調査」は、仲介業者が主導して
インスペクション業者斡旋の可否を問う事が
宅建業法改正で義務化になったのですが、
先に説明した通り、「建物状況調査」の大きな欠点(買主サイドにインスペクション業者の斡旋可否が契約時なる為、現実的には契約前にインスペクションをする事は困難)を補う為には、
仲介業者は、率先して買主サイドに、中古住宅を紹介する時点で、
床下・屋根裏に入っての調査が無い「建物状況調査」ではなく、
床下・屋根裏に入っての調査が有る「住宅診断」を勧めて下さい。
そうする事で、仲介業者サイドも、買主サイドも気持ちよくお互いが納得して契約する事が出来ます。
何故ならば、
床下・屋根裏に入っての調査がある「住宅診断」を、
買主サイドの自己責任で実施すれば、
建物を調査し、色々な劣化・瑕疵事象が有ったとしても、
それを納得して契約する事になります。
仲介業者サイドも、色んな細工を施す必要がなくなりますので、契約もスムーズに運ぶと考えられます。
この事が、これからの「住宅診断」の重要な役目になります。
今回はこれで終わります。
ホームインスペクション(住宅診断)のご依頼、または建物状況調査のセカンドオピニオンのご依頼は、
当社ホームページ画面の上下に有る「お問合せ 」か又は携帯電話(090-1183-5008)まで連絡をして下さい。
契約する前が、住宅診断の最適な時期です。