2018/04/08
今回は、平成25年6月に国土交通省が策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を検証し、「建物状況調査」の意義を考えてみました。
■「建物状況調査」とは
今月から宅建業法改正に伴うインスペクション業者の斡旋可否の義務化がスタートしました。
義務化がスタートした事で、「建物状況調査」の報告書説明が、中古住宅売買の重要事項説明時にされる機会が増える事でしょう。
そこで「建物状況調査」がどの様な内容なのかを簡単に説明してみます。
「既存住宅インスペクション・ガイドライン」で決められた「建物状況調査(当時は既存住宅現況検査)」とは、
中古住宅の劣化事象の有無を調査する事だけであり、
瑕疵の有無を判定するものでは有りません。
例えば、基礎にひび割れの判定基準の0.50ミリ以上の箇所が有るか否かを判定し、報告するだけのものです。
ただ単に、現状の判定基準以上の劣化事象の有無を調査するだけで、
「建物状況調査」をする資格者を建築士だけに限定しました。
しかし、建築士の建築に対する専門知識は殆ど必要では有りません。
これは、ただ単に中古住宅を購入される方に対してのパフォーマンスで、
建築士が調査していますから安心ですよと意味の無い安心感を持ってもらうだけの事です。
買主サイドにとっては、費用対効果が有る有益性は何一つ有りません。
つまり、その劣化事象の原因は何なのか? 早急に補修しないといけないものか? 補修する必要が有るのなら費用の金額は? 等の買主サイドが一番知りたい情報は有りません。
さて、ここからが今回のお話のメインテーマに入ります。
下記の国土交通省が作成したポンチ絵を見て下さい。
黄緑部分の一次的なインスペクションが今回のガイドラインが対象にした「既存住宅現況検査(現在は「建物状況調査」)です。
先程お話したように、「既存住宅現況検査(現在は「建物状況調査」)は、買主サイドにとって有益な情報は一切有りません。
ここで、一次的なインスペクションを「既存住宅診断」にする事を提案します。
「既存住宅診断」の内容は、劣化事象の原因は何なのかを目視で分かる範囲で報告する様にするのです。
そうする事で、
買主サイドが一番知りたい最低限の情報が分かり、メンテナンス等にかかる費用などが事前に分かり易くなると思います。
目視で原因が判らない場合は、
二次的なインスペクションとして、「詳細既存住宅診断」とすれば、
中古住宅流通促進がスムーズに進むのではないかと考えます。
しかし、問題点は一つ有ります。
それは、劣化事象の原因を判断するには、住宅診断の実績と経験が無ければ出来ないという事です。
実績と経験が有るインスペクション業者を、買主サイドの自己責任で探す必要が出てきますが、
意味の無い、費用対効果が無い「建物状況調査」を依頼するよりは、
安心・納得して中古住宅が購入できると思います。
今回はこれで終わります。
ホームインスペクション(住宅診断)のご依頼、または建物状況調査のセカンドオピニオンのご依頼は、
当社ホームページ画面の上下に有る「お問合せ 」か又は携帯電話(090-1183-5008)まで連絡をして下さい。
契約する前が、住宅診断の最適な時期です。