2018/09/30
今回は、お題目が長くなりましたが、このお話をして行きます。
宅建業法改正によるインスペクション業者斡旋の義務化がスタートして丸5ヶ月が過ぎました。
今のところ、改正がスタートする前と何ら変化が無いと言っても過言ではありません。
それどころか、不動産仲介業者のインスペクションに関しての取り組みが、本来の主旨とは反対の考え方で悪用するマイナス状態と思われる節も有ります。
それは何かと言いますと、
売主様に対して、媒介契約時にインスペクション業者の斡旋及びインスペクションとはどんな事をするかなどの説明までが義務化なので説明します。
しかし、インスペクションの仕組みを懇切丁寧に説明される仲介業者は皆無と言っていいでしょう。
不動産仲介業者にしてみれば、インスペクション自体が義務化ではないので、自分の手数料が減る中古住宅の値段が下がる可能性が高くなるインスペクショ報告書が無い方が良いのです。
また、売主様側の色々な事情が有るので、インスペクション費用の支出に躊躇う事も現実的に有りますので、仕方がない場合も見受けられます。
問題なのは、
買取再販業者にとっては、国土交通省が薦めるこの制度は、両手を上げて歓迎している事です。
また、宅地建物協会などが「安心R住宅」を全面的にバックアップする事も起きています。
その協会の役員に聞いてみると、他の協会も始めたからとの事でした。
「安心R住宅」とは、簡単に説明しますと、各協会などに登録して、リフォーム工事をして(特例有り)既存住宅瑕疵保険を加入できる状態にした中古住宅を販売する事が条件です。
あたかも国が安全な中古住宅ですよと保証している様に受け取られますが、まったくもって国は関係有りません。
ただ単に、「安心R住宅」という名称を使用して販売する事ができる権利なのです。
既存住宅瑕疵保険に加入できる中古住宅だから安心ですよと謳い文句にしています。
しかしそもそも、既存住宅瑕疵保険加入の為の検査は、中古住宅で瑕疵が発見される可能性が一番高い床下・屋根裏に入っての検査はしません。
つまり、何を持って安心なのかが分かっていないのが「安心R住宅」なのです。
リフォーム工事をして、見かけはとても綺麗に仕上げていますが、
私が、買取再販業者が販売している中古住宅の住宅診断をしてきた経験上、
床下に入って調査をした場合は、目も当てられないほどの手抜き工事が満載です。
この様な状態の建物も、既存住宅瑕疵保険には加入できるのです。
何回も書きますが、既存住宅瑕疵保険加入の為の検査には、床下に入っての検査はないのです。
まとめてみますと、
今回の宅建業法改正に伴う「建物状況調査」を実施しない売主側の考え方、させたくない不動産仲介業者の考え方、そして買取再販業者の考え方はそれぞれ有りますが、
買主側の為に、どの様なインスペクションをすれば安心して売買出来るかの考え方は残念ながらどこにも入っていません。
つまり、中古住宅の流通促進に繋げる為の宅建業法改正だったはずが、残念ながらこの制度は足枷になってしまっています。
◆まとめとして
買主側が、「住宅診断」の情報を正しく仕入れる事が一番大事な事です。
どの様な住宅診断方法が安心出来るのか、どのインスペクション業者に依頼すれば安心なのかを不動産仲介業者に任せるのではなく、自分で納得するまで調べて下さい。
同じインスペクションであっても、2,3時間で終わる業者もいれば、当社の様に8時間以上かかる業者もいます。
費用が安い所は、やはり安いなりの報告書しか出ません。
インスペクションで一番大事な事は、劣化事象の有無を報告書に記載するのではなく、その劣化事象の原因が何なのかが一番大事なのです。
その劣化事象を補修する見積もり金額も大事ですが、原因が分からないで表面だけを補修する見積もりを貰っても意味のない事だと思いませんか?
その事を十分に調査してから、自分で安心出来るインスペクション業者に依頼して下さい。
今回はこれで終わります。
ホームインスペクション(住宅診断)のご依頼、または建物状況調査のセカンドオピニオンのご依頼は、
当社ホームページ画面の上下に有る「お問合せ 」か又は携帯電話(090-1183-5008)まで連絡をして下さい。
契約する前が、住宅診断の最適な時期です。