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何故「床下・屋根裏に入っての検査」に拘るのか?

今回は、私が何故インスペクションに「床下・屋根裏に入っての検査」の必要性に拘るのかをお話します。

【テキストテキスト】
何故「床下・屋根裏に入っての検査」に拘るのか?

私が、住宅診断を仕事として依頼を受ける様になった当初の頃に、

既存住宅瑕疵保険に加入できる中古住宅を契約した後に、契約されたお客様から「住宅診断」の依頼を受けました。

最初は、既存住宅瑕疵保険の加入の検査に合格しているリフォームされた綺麗な中古住宅だから問題は無いと思っていたそうですが、

知り合いから、最近は「住宅診断」といって、中古住宅の診断をする設計事務所が有るから依頼してみては?

と言われたそうです。

知り合いから言われる迄は、瑕疵保険加入検査に合格している中古住宅だから安心していたのですが、

問題が無い事を確認する為に、当社に依頼されたそうです。

住宅診断の結果、既存住宅瑕疵保険に加入が出来ないはずの事象として、

①LDKの床が7/1000の傾斜
②和室の柱が6/1000の傾斜
が確認できました。

この二つの瑕疵事象に関しては、瑕疵保険法人の検査基準によっては合格する瑕疵保険法人が存在します。

それはそれで、その保険法人の規定だからそれ以上の事を言っても仕方がないのでここでは言いません。

ここで言いたい事は、

この中古住宅の床下に入って調査をした結果、

地盤の亀裂、地盤陥没、基礎に3㎜幅のひび割れが発見された事に対しての相手側(売主と瑕疵保険法人)の対応です。

この床下の瑕疵事象を仲介業者に伝え、瑕疵保険法人に確認してもらった結果、

既に瑕疵保険の「付保証明書」が発行されていますが、

床下の瑕疵事象を直す為の、瑕疵保険は降りませんとの事。

※「付保証明書」とは、
簡単に言いますと、瑕疵保険加入検査に合格しましたから、もし中古住宅に瑕疵による被害が出ましたら、その被害を直す費用を保険から降ろしますという証書です。

ここでの問題は、仲介業者が瑕疵保険で直せると思っていた事です。

しかし、瑕疵保険が降りる条件とは、この住宅に当てはめてお話をしますと、

基礎の3㎜幅のひび割れの瑕疵事象を直す為の補修費用は、保険から降りないのです。

このひび割れが原因で、例えば、家が傾いた事が明らかに証明できた場合だけ、家が傾いた事象を直す為の補修費用が保険から降りるのです。


話を戻して、

瑕疵保険の規定では、買主に「付保証明書」を発行する前で有れば、

売主が、その瑕疵事象を補修して、保険法人に再度申請をやり直せば、瑕疵保険で直す事もいらなかった事ですが、

売主は、それさえしなかったのです。

不親切極まりないのですが、後の祭りでどうする事も出来ません。

今後、このひび割れが原因で家が傾いても、既に表に出ている事象なので、保険が適用されませんというオマケまで付いてしまったのです。


ここでの床下の瑕疵事象に関して、

結局、ご依頼者様は泣き寝入りする羽目になったのです。

当時の報告書には、

「基礎の3㎜のひび割れと地盤の陥没と地下駐車場との関係の有無を詳細な調査を行う事が望ましいと考える箇所です。」と記載し、

「基礎のひび割れと地盤の陥没を早急に修繕が必要と考えられる箇所です。」と記載していますが、

結果的に、基礎のひび割れと地盤陥没の因果関係の詳細な調査もしてもらえず、

床下の瑕疵事象も直してもらえず、

解約も出来ず、

既に契約した後で、尚且つアパートを出る時期が迫っていた為、

全てを泣き寝入りする事になった事が、

私にとって、とても大きなショックだったのです。


この事件が有ってから、

既存住宅瑕疵保険の内容を調査し、実情は雨漏り以外は殆ど保険から補修費が降りない事も分かりました。

それ以来、床下・屋根裏に入っての調査をしない「既存住宅瑕疵保険」は、保険に関して何の意味も無い制度と考えるようになり、

そしてこれをインスペクションの柱として考えている「安心R住宅」は、何が安心なのかが分からない、消費者を騙すような制度と考える様になりました。

ここでお話したご依頼者様のように、

泣き寝入りさせない為に施行された制度(既存住宅インスペクション・ガイドライン)だったはずが、

これを悪用した新たな制度が次々と開発・発表される事は、

私にとって非常に腹ただしい事なのです。

ゆえに、このブログにも何回も書いている様に、「床下・屋根裏に入っての調査」は必ず必要ですと訴え続けているのです。

今回はこれで終わります。

次回をお楽しみに!

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