2019/07/08
今回は、昨年4月に宅建業法改正に伴うインスペクション業者斡旋の可否の義務化で実地される「建物状況調査」についてお話をしていきます。
◆初めに結論として
残念ながら不発に終わった様に思われます。
◆理由として
一つ目の理由として、
A4用紙1枚に建物の概要(建物の状態)が書かれているだけです。
その内容は、例えば基礎に関して言えば、0.5㎜以上のひび割れ(劣化事象等)が、「有」「無」「調査できなかった」の3項目のどれかにチェックを入れるだけです。
もし、0.7㎜のひび割れが有れば、「有」にチェックされるだけです。
このひび割れの性質(不同沈下によるひび割れなのか、ただ単にコンクリートの圧縮によるひび割れなのか)が何なのかを明記する必要はないのです。
単純に、これだけでは買主は、このひび割れが直ぐに補修を要するものなのか、構造的に問題ないものなのかを判断が出来ません。
二つ目の理由として
この建物状況調査報告書を説明するのは、報告書を作成した建築士ではなく、何も建物状況調査の判定基準も分からない仲介業者の宅建士です。
これでは、買主に不安を煽るだけで、安心を訴える事は皆無です。
三つ目の理由として
この「建物状況調査」は、瑕疵の有無を判断するものではなく、瑕疵が無い事を保証するものでは有りませんと注意事項に記載されている事です。
つまり、建物の現況の状況を報告するだけの報告書なのです。
買主にとって何一つ安心を提供しているものではない事が分かりますよね。
この宅建業法改正に伴うインスペクション業者斡旋の義務化は、結局、無駄な費用を出すだけで、
売主にとっても何のメリットも存在しない事が分かってしまったのです。
これでは普及するわけ有りませんよね。
今回は、これで終わります。