2019/07/01
昨年4月に宅建業法改正に伴うインスペクション業者斡旋の義務化がスタートしましたが、果たして現状はどうなったでしょうか?
昨年の宅建業法改正に伴うインスペクション業者斡旋の義務化でインスペクションが普及するであろうと考え、
普及するにつれて、どのような問題が出てくるだろうかと考えていました。
しかし、結果的には、インスペクションの普及は進まず、
問題として上がって来た内容は、同時期に国土交通省肝いりの「安心R住宅」が京都弁護士会からやり玉に上げられました。
宅建業法改正によるインスペクション業者斡旋の義務化とこの「安心R住宅」とは問題の根っこが一緒だと私は考えています。
どちらも共通している事は、インスペクション時に床下・屋根裏に入っての検査が有りません。
では一つ一つ解説しましょう。
宅建業法改正に伴うインスペクション業者の斡旋義務化の方は、
インスペクション業者が斡旋された場合、実施される建物状況調査報告書の検査項目に、中古住宅で瑕疵・欠陥が発見される可能性が高いとされる床下・屋根裏に入っての検査項目が有りません。
これではインスペクションを実施した意味が半減します。
それと、建物状況調査の検査資格を建築士と限定した事で中古住宅は安心ですと装う事を考えたのでしょうが、考えが幼稚過ぎますね。
半日の講習で建築士が「既存住宅状況調査技術者」の登録証が貰えます。
果たして、住宅診断の経験が無い建築士が調査した建物状況報告書がどれだけ信用できるでしょうか?
では、もう一つの「安心R住宅」は何が問題だったのでしょうか?
「安心R住宅」とは、
リフォーム工事をして既存住宅瑕疵保険が加入できる中古住宅だから安心ですと安心を前面に出し、
「安心R住宅」の商標を使用して売り出す事が出来ます。
また、既存住宅瑕疵保険が加入できるリフォーム工事の見積もりが有れば、「安心R住宅」の商標を使用してこれも売り出す事が出来ます。
ここでの問題は、既存住宅瑕疵保険に加入できる中古住宅だから安心なのか? が大きな問題と私は考えています。
それは何故なのか?
答えは簡単です。
つまり、中古住宅で瑕疵が発見される可能性が高い床下・屋根裏に入っての検査を実施しなくても既存住宅瑕疵保険に加入できる住宅だから安心ですよと販売する事が問題なのです。
最終的には、既存住宅瑕疵保険に加入できる中古住宅は安心なのか? になります。
答えは、Noです。
国土交通省は、Yesと答えます。
この違いを皆様にご理解して頂きたいのです。
今回はこれで終わります。