2020/05/28
今回は、<床下に入っての住宅診断とは>のお話をして行きます。
何故、今回のタイトルにしたのかの理由からお話して行きましょう。
現在、巷で実施されている住宅診断の殆どは基本診断のみで、オプション項目にしている床下・屋根裏に入っての診断はされていません。
それは何故でしょう?
理由は2つ有ります。
一つ目は、国土交通省が床下に入っての診断をオプション項目にしているからです。
つまり、国が床下に入って迄のインスペクションを要求していないからです。
二つ目は、インスペクターの費用対効果が釣り合っていないからです。
床下に入ってのオプションの平均的な診断費用は、2万円前後です。
つまり、
2万円で床下に入って調査する事に対して、
住宅診断の総合的な判断力が必要になり、診断結果に対する責任が大きくなるのです。
でも、この事が理解できるインスペクターは、殆どいないでしょう。
ただ単に、めんどくさいから受注しないインスペクターが殆どです。
ここで私が今回のタイトルに<床下に入っての住宅診断とは>にしたのは、
床下に入って調査する事が、
中古住宅の住宅診断にとって、どれだけ重要な事なのかをお話したかったからです。
では、ここから本題に入ります。
Y&Y住宅検査が実施する住宅診断では、床下に入っての診断を最後に行います。
つまり、床下に入る工程までに診断で発見された不具合事象「ひび割れ」「床・壁の傾斜」「サッシ等の開閉不良」などの原因の殆どが、床下に入っての調査で原因が繋がって行きます。
床下に入っての調査が、重要な事がお判りになったでしょうか?
ただし、
この事を理解できるインスペクターが何人いるかが問題ですけどね。
今から、不具合事象一つ一つと床下に入っての調査がどの様に繋がるかを説明します。
「ひび割れ」の事象で、特に基礎外部にひび割れが何箇所か有ったとしましょう。
床下に入る前に、各箇所のひび割れの位置関係を把握します。
例えば、基礎のひび割れ0.5㎜以上が、東西それぞれの面に発生していたとします。
これだけで考えられる瑕疵事象の可能性としては、南北どちらかに家が傾いている可能性を考慮します。
その前後の診断で、床の傾斜計測結果と合わせて床の傾斜が想像通り南北のどちらかに傾斜していれば、不同沈下の可能性が大になります。
この考えを補強する為に、敷地の南北面に法面の有無も確かめておきます。
ここ迄準備して、最終的に床下に入って診断します。
最初にする事は、東西の基礎のひび割れが貫通しているかどうかを調査します。
また、床下の地盤が陥没していないか、又は土間コンに亀裂が南北に走っていないかも確認します。
お分かりになったでしょうか?
外部の基礎のひび割れ事象、床の傾斜事象、敷地の廻りの状況を全て把握してから床下に入って調査する事が、
どんだけ中古住宅の住宅診断に必要な事なのかがお分かりになりましたでしょうか?
ここ迄の調査をした結果、
基礎のひび割れ以外に不具合事象が無ければ、ここで初めてこの基礎のひび割れは、ただ単にコンクリートの収縮によるひび割れで、構造的には問題は有りません。
しかし、ひび割れ幅が0.5㎜以上有りますので、基礎内部の鉄筋に湿気(空気)が伝わらない様にコーキング等で補修する事が必要です。と説明できるのです。
現実的なお話をすると、
「ひび割れ」の不具合事象からは、色んな瑕疵・欠陥が分かってきます。
ただ単に、何処そこに何㎜のひび割れが何箇所在りましただけを報告する事が住宅診断と考えているインスペクターが殆どです。 悲しいですが。
費用は他の業者より高いと思われるかも知れませんが、
これがY&Y住宅検査の考える住宅診断なのです。
それでも、
床下に入っての調査をしない住宅診断の方が安いからと言って、そちらに依頼されますか?
もう一つ注意として、
仲介業者(不動産屋)が良く使用するセールストークで、
この建物はシロアリ業者が床下を調査しているから、
床下に入って住宅診断する必要は有りませんし、費用が勿体無いですよって言われる事が大変多いです。
この様な事を言う仲介業者は、
住宅診断の意味を分かっていませんので、鵜呑みにされませんように!
またもう一つ注意して頂きたいのは、
インスペクターによっては、床下に入っての診断をシロアリ業者に丸投げする事も有ります。
これも先程の仲介業者の考えと同じです。
シロアリ業者が実施する床下調査と住宅診断による床下に入っての診断は、
まったくもって違う内容です。
シロアリ業者は、ただ単にシロアリ被害の有無及び土台等の腐朽の調査のみです。
今回は長くなりましたので、ここ迄で終わります。