2020/11/14
今回は、<基礎鉄筋かぶり厚さとして>についてお話をします。
もし
基礎の配筋の検査をする前の現場を見学に行く機会が有れば
是非、下記記載の箇所のかぶり厚さをチェックして見て下さい。
または、工務店の現場監督に聞いてみるのも良いですね!
下記一枚目の基礎断面図の
「かぶり厚さ60㎜」と記載している箇所と
二枚目の表の
「土に接する部分」の右端の「6cm以上」を見て下さい。
上記に記載している通り
基礎の場合は
土に接する部分のかぶり厚さは60㎜以上必要なのです。
建築基準施行令第79条第1項に記載している内容を簡単に書いている表が
上記二枚目の鉄筋かぶり厚さの表の右側の数値です。
つまり
建築基準施行令で定められているにも関わらず
守られていないのです。
どの様に守られていないかをそれぞれ説明して見ます。
最初に基礎断面図の下側の60㎜のかぶり厚さの場合は
本来
べた基礎のスラブコンクリートの下の面にも
基礎断面図に書いている様の30㎜の捨てコンを打てば問題は無いのですが
コスト削減の為に
基礎の外周部のみに捨てコンを打つだけにして
スラブの下部の面に捨てコンを打たない現場が殆どです。
この為に
インスペクターが検査していた時は
時折、工事がストップして
全てを直させる事が起きます。
捨てコンを打たない事に関しては
法的な問題は有りません。
ただ
鉄筋の下に900ピッチぐらいで
60㎜角のサイコロを設置し
かぶり厚さを確保しようとしますが
サイコロの下側は
転圧をした砕石が有るだけです。
つまり
サイコロを鉄筋の下に設置する時とか
特に、生コンを打つ時に
鉄筋の上を歩きますので
どうしてもサイコロが沈んでしまい
かぶり厚さ60㎜が確保出来なくなるのです。
スラブ下全面に捨てコンを打っていれば
下がる事なくかぶり厚さ60㎜が確保できますが・・・・・。
次は
基礎断面図の左側のかぶり厚さ60㎜が
確保できていない住宅として
基礎の立ち上がり幅が120㎜の場合です。
実際に基礎立上り内側のかぶり厚40㎜を確保し
その外側に13㎜のヨコ筋、10㎜のタテ筋が来ますので
残りは57㎜になります。
鉄筋が垂直・水平に施工した場合
計算上は3㎜足らなくなります。
ただし
土に接する部分からかぶり厚60㎜確保する為に
タテ筋を内側に入れる事が出来れば問題は無いですが
タテ筋が300ピッチで入っていますので
全てに60㎜のスペーサーを設置する事が出来るでしょうか?
それを施工したとして
そのスペーサーが同じ高さにほぼ設置しますので
コンクリートの強度が下がります。
スペーサーをタテ筋に設置するのではなくて
スペーサーの位置に
タテ筋の外側にヨコ筋を通して
そのヨコ筋にスペーサーを設置すれば解決するかな?
手間を掛ければ解決する方法は有ると考えます。
手間を掛けないで、この3㎜を
たった3㎜の事をグダグダ言うな!って言われるかもしれませんが
最初の鉄筋配筋の方法では
建築基準施行令違反で有る事は間違いないのです。
また
鉄筋のかぶり厚さの表にも記載している通り
布基礎の立上り部分の土に接する部分は40㎜以上あれば良いのですが
べた基礎の場合は
この布基礎の立上りの様な緩和規定?が有りません。
では何故
違反で有る事が分からないのか?
それは、布基礎の延長線上でべた基礎の配筋を考えるからなのです。
ここで
一番大きな問題は
新築住宅で基礎配筋検査をする機関は
瑕疵保険の検査機関です。
瑕疵保険の設計施工基準には
ベース配筋のかぶり厚60㎜以上確保する以外の
かぶり厚さを検査する基準が無いのです。
つまり
ベース筋以外の
土に接する部分のかぶり厚さに関してはノータッチなのです。
建築基準施行令で決められていてもです。
凄く矛盾を感じませんか?
工務店の考え方の一つに
瑕疵保険の検査に合格するから
問題は有りませんと言われる会社も有ります。
しかし
完全な欠陥住宅なのです。
これを理解していない工務店が多い事に
ビックリします。
手間を少し掛ける事で
欠陥住宅ではなくなるのですから
ほんの少し工夫して欲しいです。
立上りを150㎜にすれば
全て解決しますけどね!
今回は、これで終わります。
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