2018/04/06
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今回は、平成25年6月に国土交通省が策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を検証し、
「建物状況調査」の意義を追求してみました。
「既存住宅インスペクション・ガイドライン」の検証として
今回のガイドラインの対象としているのが、
下記の、見取図で分かり易くしている国土交通省が作成したポンチ絵を見て頂き、
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aaその中の一次的なインスペクションである既存住宅現況検査が、黄緑色の範囲です。
その下の主な利用場面に、赤い線で囲っている「中古住宅の売買時に補修工事の必要性等を把握しようとするとき」に注目して下さい。
※この文章の内容は、とても重大な事を秘めています。
補修工事の必要性等を把握しようとする行為は、
補修工事の必要な箇所の有無を調べる事です。
その箇所が、補修工事が必要かどうかの有無を調べる事は、
その原因を突止めてから、補修が必要かどうかの判断になるはずです。
分かり易く言いますと、
劣化事象が確認された場合、その劣化事象が経年劣化によるものか?
または、何かの瑕疵が原因で劣化を起こしているか等によって、補修工事の必要性等の有無が変わってきます。
ここ迄調査する事で、初めて補修工事の必要性等を把握する事になると考えます。
この事を頭に入れておいて、
下記の赤い四角で囲っている中のアンダーラインを読んで下さい。aa
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現況検査には、「瑕疵の有無を判定すること」を要しないと書いています。
しかし、劣化事象の原因を調べて行けば、自ずと瑕疵かどうかの判定をする事になります。
この二つの相反する矛盾を、どの様に解釈したら良いのだろうか?
上記のポンチ絵の二次的なインスペクションで有る「既存住宅診断」を新たに依頼して
劣化事象の原因を把握してから補修しなさいという事なのだろうか?
このポンチ絵から判断すると、その様に理解せざるを得ませんね。
でもこの考えには無理が有ります。
ポンチ絵には、二次的なインスペクションの例に、「耐震診断等」が挙げられています。
例えば、ひび割れの原因をインスペクションする事と、耐震診断をする事が同列にするのは疑問に思います。
■この事を解決する方法として
劣化事象の原因を調べる方法を、
目視を基本とした非破壊でインスペクションする方法までを一次的なインスペクションとして、
一次的なインスペクションで原因が分からない場合には、
特別な機器など又は調査に必要な部分を破壊するインスペクションを二次的なインスペクションにすれば、
耐震診断と同列にしても違和感が無いのではないでしょうか。
つまり、「既存住宅現況検査」を失くし、一次的なインスペクションを「既存住宅診断」にして、
二次的なインスペクションを「詳細住宅診断」にすれば、
全てが明快に解決し、買主サイドに取っても財布に優しくなる為に、
既存住宅流通促進に拍車がかかると思われます。
現状の考え方として
「既存住宅現況検査」から「既存住宅状況調査」になった経緯は、
検査資格を建築士だけに絞る為に名称が変わりましたが、
元々の、既存住宅インスペクション・ガイドラインの基本は変わっていません。
つまり、「建物状況調査」も、最初に説明した矛盾のまま宅建業法改正が施行されています。
建物状況調査の結果の概要の裏面の「注意事項(共通事項)」には、
「1.本調査結果は瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものでも有りません。」と書かれています。
本当に、「建物状況調査」は、劣化事象の有無だけの調査の様です。
結論として
平成25年6月に国土交通省が策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を作成する最初の頃は、
純粋に、中古住宅流通促進の為のインスペクションは、瑕疵の有無を判定する迄と考えていたのではないでしょうか?
それが段々、お役人様の天下り先の企業からの要望を入れ始めたが為に、
何の意味も持たない、「建物状況調査」になってしまったのではないかと推測します。
今回は、これで終わります。
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