2018/05/09
今回は、前回に続き「建物状況調査」を上手に利用しよう!についてお話をして行きます。
下の写真 : 床の傾斜をレーザーレベルで計測
劣化事象部位 「床」 についてお話をします。
劣化事象部位 「床」 について
構造耐力上主要な部分に係る調査部位の欄の三番目に、「床」が有ります。
そして、劣化事象 「有る」 「無し」 「調査できなかった」 のどれかにチェックが入っているはずです。
もし、「有る」 にチェックが入っている場合は、6/1000以上の床の傾斜が有るか、又は著しい沈み、床の割れ・劣化などが有る場合です。
この場合は、重要事項説明時に、売主、買主の双方が劣化事象を実際に確認し、双方が納得して契約する事になると思われますが、
この時に、床の傾斜が6/1000以上有る場合は、床の傾斜を計測したポイントを聞いてみましょう。
6/1000以上の事象が確認される場所によっては、
構造的な原因で無い場合が有ります。
例えば、重たい冷蔵庫が長年置いていた場所は、冷蔵庫の重さでただ単に沈んでいる例も有ります。
■構造的な原因と思われる床の傾斜の例として
2階の載りが悪い場合が有ります。
簡単の説明しますと、2階の壁・柱ライン上の下に、1階の壁・柱が無い場合、
2階の荷重を担っている梁が撓んで2階床が下がる事象がよく確認されます。
1階の場合は、不同沈下が原因の場合が有ります。
この場合は、基礎のひび割れ及び壁の傾斜にも劣化事象が出ていると考えられます。
もし、「無し」 にチェックが入っていた場合が問題なのです。
■問題とは
「建物状況調査」の床の調査方法は、各階ごとに1区画以上について計測となっています。
つまり、各階の一部屋だけを調査するだけで良いのです。(他に何部屋有ったとしても)
問題の無い部屋の床を計測した事にすれば(他の部屋に6/1000以上の傾斜が実在したとしても)、
劣化事象の 「床」の所に、「無し」にチェックが入っている事も考えられます。
一番大きな問題は、
床の計測方法が統一されていない事です。
デジタル水平器のみで計測した数値と、レーザーレベルで計測した数値は明らかに違います。
また、上記の計測方法の違いから、計測箇所も違ってきます。
この計測方法の違いで、同じ部屋を測定した結果が、劣化事象の 「有る」 「無し」 も変わってきます。
これが、「建物状況調査」方法の、とても大きな不備の一つです。
「建物状況調査」の調査結果の概要には、床の傾斜の原因まで説明する義務は有りませんので、
床の傾斜が悪い理由及び原因を、売主サイド又は仲介業者に聞いてみましょう。
上記で、例を上げた原因などを説明してくれれば、ある程度は安心または納得して購入する事が出来ると思います。
もし、「分かりません」 又は 「でも大丈夫ですよ」 という回答などが来た場合は、
一旦契約する事を延期した方がよろしいかと思います。
売主サイドが「建物状況調査」をする意味は、
買主サイドの中古住宅に対する不安を取り除き、安心・納得して購入して貰う為の手段のはずです。
ただ単に、劣化事象の 「有 ・無」 を報告すれば、自分(仲介業者)の義務は全うしたのだから、
購入するかしないかの判断は、買主サイドがする事だから、後は知りませんよ。
では無責任過ぎると思います。
この様に、「建物状況調査」の結果の原因を聞く事で、隠れた瑕疵の可能性を見出す事が出来ると思います。
専門的な言葉で説明されても判らない場合も有るかも知れませんが ・ ・ ・ ・ 。
不安な場合は
自分だけでは、上記の内容まで確認が出来ないと思われる場合は、
重要事項説明の 「建物状況調査」 の立ち会いを
「住宅診断」 専門のインスペクターに 「セカンドオピニオン」 として依頼する方法が有ります。
ただし、劣化状況の原因を、目視の範囲で調査出来る
実績と経験が有る 「住宅診断」 のプロに依頼して下さい。
次回は、「内壁」 についてお話をする予定です。
今回は、これで終わります。