2018/07/23
今回は、新築住宅の住宅診断事前チェックとして、図面チェックで耐震性の確認についてお話をします。
熊本地震を建築の専門家が調査した結果、今まであまり重要視されていなかった 「直下率」 の数値が建物の耐震性に大きく影響することが判明されました。
何故かというと、2000年基準の1.25倍の強度を持つ絶対に倒壊しないと思われていた耐震等級2の住宅が倒壊した事が発端です。
倒壊した住宅の図面を分析して出た回答が、「直下率」の低さが倒壊した有力な原因の一つではないかという会見が出されました。
「直下率」とは、1階と2階がつながっている柱や耐力壁の割合の事で、構造的なバランスを評価する重要な指標として使われています。
ここで問題なのは、この 「直下率」 は、建築基準法で数値を決められていませんので、あくまでも住宅を設計する建築士サイドの考え方が影響されます。
今回倒壊した住宅の壁量は耐震等級2の必要量を満たしていましたが、柱の直下率が47.5%(適正直下率60%以上)、耐力壁が17.8%(適正直下率50%以上)で、特に耐力壁の直下率が小さいプランとなっていました。
この事が発表されてから建てられた新築住宅を弊社が住宅診断をする場合は、
特に2階の載りが悪いプランなどの場合は事前チェックで 「直下率」 を確認する事にしています。
分譲住宅などは、外観及び間取り重視の設計がされていますので、契約する前にこの 「直下率」 を確認する事が、
今後、住宅を購入する上で必要なチェック項目ではないか考えています。
住宅診断とは、基本的に建築基準法違反の有無及び瑕疵の有無を調査はしないとなっていますが、
それを調査するしないは、インスペクターの判断に寄ります。
弊社では、新築住宅の場合は、建築基準法違反、フラット35仕様違反、瑕疵保険仕様違反などの調査も
実施しています。
今回このようにお話させて頂いたのは、
柱の直下率が21.05%、耐力壁の直下率が13.33%という信じられない新築住宅の住宅診断依頼を受けたので、
「直下率」を普及させる為にも、このコラムで取り上げました。
追伸として
まだまだ、契約をした後に住宅診断を依頼される方が多いです。
分譲住宅の場合は、外観・間取り重視になっていますので、直下率がかなり低いと想定します。
契約する前に必ず住宅診断を依頼しましょう。
直下率も調査して頂けますかを一言聞いてみて下さい。
直下率の事を理解していないインスペクターが多くいますので注意して下さい。
再追伸として
中古住宅で2階の床の傾斜が著しく悪い場合の原因は、この直下率が低い事が原因です。
今回は、これで終わります。