2018/08/27
今回は、中古住宅購入時に、住宅診断で床下に入っての調査をしなかった場合、どんな不具合及び劣化事象を見逃していたかについてのお話してをして行きます。
床下で確認される代表的な事象
下記写真:硫酸塩による表層剥離
上記写真の説明
元々この土壌に含まれていた硫酸化塩が湿気と化学反応して、白い針状結晶が発生し、この針状結晶がコンクリートの表面を劣化させ表層剥離を起こす事でコンクリートの強度が低下する症状です。
この症状をそのままにしていると、地震時に基礎が崩壊して建物に異常をきたす可能性が考えられます。
下記写真:床下合板表面にカビ
上記写真の説明
床下にカビが発生する大きな原因は、床下の空気の流入を阻害する事で湿気が溜まりカビが発生します。
湿気が溜まる大きな原因として
①床下換気口の配置が悪い場合
②床下換気口を物置などで塞がれた場合
③建物の近くに塀または法面が有った場合で、風通しを阻害する場合
④外部地盤面よりも床下地盤面が10cm以上低い場合
この様なカビが発生したままに放置した場合に考えられる事は、このカビが部屋内に知らず知らずに入り込み、それを長期に吸う事で健康被害も考えられます。
下記写真:必要な構造材を切断し補強をしていない
上記写真の説明
この家は、買取再販業者の中古住宅(見た目はとても綺麗に仕上がっていました)の床下を診断した時に確認された欠陥工事です。
この写真の赤丸部分を見て頂き、床合板とユニットバスとの取り合いに根太等で補強していない為に、洗面所のユニットバス入口付近を踏むと、床が沈む事象が確認されました。
リフォーム工事を施された中古住宅は、見た目がとても綺麗に仕上げていますので、まさかこの様な欠陥が有るとは想像もできませんね。
下記写真:基礎のひび割れ
上記写真の説明
外部で計測したこの場所の基礎のひび割れ幅は0.3mmでした。
既存住宅瑕疵保険には、0.5mm未満なので加入できます。
しかし、同じ場所を床下に入ってひび割れを計測した結果がこの写真のように1.0mmの基礎のひび割れだったのです。
つまり、既存住宅の瑕疵保険付き住宅だから安心な建物ではない事がお分かりになったでしょうか?
基礎のひび割れに関して特に注意する事は、基礎のひび割れの場所と床の傾斜を詳細に計測する事と建物の近くに法面などの有無を調査する事で初めて建物全体の劣化事象が判断する事が出来ます。
最後に
床下に入っての調査が無いインスペクション(建物状況調査、既存住宅瑕疵保険加入の為の検査)では、建物の本当の劣化状況は確認できない事がご理解出来たでしょうか?