2018/08/28
今回は、あなたは「住宅診断」に何を期待しますか?についてのお話をしてみたいと思います。
上の写真:配管を通す為の穴を開ける時のひび割れと思われる。
中古住宅または新築住宅の購入の為に、住宅診断の必要性または認知度は少しではありますが広まって来ている様な気がします。
「住宅診断」とか「ホームインスペクション」などの言葉は、書物よりもインターネットで見る機会が増えているのでしょうか?
その為なのかは分かりませんが、20歳代から30歳代のご依頼主様が増えて来ていますと言うより、ほぼ全てがこの年代になっていると言っても過言ではない様な気がします。
しかしまだ、住宅診断は実際にどんな事を調査するかについては殆ど知られていないのではないでしょうか?
私共の住宅診断の報告書を説明すると、ここまで調査してくれるとは思ってもいなかったとよく言われます。
さて、ここで問題が一つ有ります。
それは、国土交通省のインスペクションに対する考え方が、買主様の為に純粋にインスペクションが必要だと考えていない様な気がしする事です。
つまり、中古住宅にしても、新築住宅にしても建物で瑕疵が発生する又は確認される可能性が大きい床下・屋根裏に入っての調査は基本住宅診断から外れて、オプション項目として考えられています。
平成30年4月に宅建業法が改正され、「建物状況調査」においては、オプション項目にもなっていません。
本当に信じられないです。
完全に床下・屋根裏に入っての調査は無視された状態です。
国土交通省及び世間一般がこの様な風潮の中で、
私の様に床下・屋根裏に入っての調査をしない「建物状況調査」は何の意味も持たないインスペクションであると声を上げている同業者は誰一人いません。
心の中では多少は必要と考えている同業者はいるかもしれませんが、
実際の住宅診断に対する費用が安い為に、費用対効果を考えると採算が合わないから声を上げないのではないかと思います。
私共は、費用対効果を考慮して、ご依頼主様の本当のご期待に沿える「住宅診断」を提供して行く為に、この4月より費用を大幅に値上げしました。
それでも、私共の考えに賛同して頂けるご依頼主様は、後をたちません。本当にありがたい事です。
話を最初に戻して、
私共は、買主様が「住宅診断」に対する期待項目は、下記の通りと考えています。
①瑕疵・欠陥が存在しないかどうか?
②劣化事象の原因は何なのか?
③劣化事象の有無及びその劣化事象は補修出来るのか?
④劣化事象を補修する為の金額は?
⑤何年後にどこをメンテナンスすれば良いのか?
おそらくこの5項目ではないでしょうか?
しかし、ここでも問題が出て来ます。
国土交通省及び諸々のインスペクション協会の規約に、
①と②が除外されています。
その理由は、
①の瑕疵・欠陥が存在しないかどうかと②の劣化事象の原因は何なのか?を判断するには、住宅診断に対する取組方と多くの経験が必要になります。
国土交通省が、平成26年に既存住宅インスペクション・ガイドラインを施行し、
平成30年に宅建業法改正に伴うインスペクション業者斡旋の義務化をスタートさせる為に、インスペクションをする業者を増やさなければならない事情が有りました。
その理由から、①と②は除外されたのではないかと推測します。
つまり、そこまでの能力を必要条件とした場合は、インスペクション業者の頭数が国土交通省が考えている人数より遥かに桁違いに少なくなるからです。
その為に、インスペクション業者になる為の条件を、
専門職であるだろうとの事で、建築士だけに絞ぼったのではないでしょうか。
建築士に、半日の講習で、「既存住宅状況調査技術者」として登録させ、ただ単に頭数だけを揃えただけに過ぎません。
ゆえに、半日の講習を受けて資格を貰った建築士に、①と②の期待項目は到底期待出来ない事はご理解されると思います。
③、④、⑤だけを住宅診断に期待されるのであれば、極端にいえば半日の講習を受けた建築士でも出来ると思います。
買主様の期待項目が③、④、⑤であれば、安い費用で簡単にインスペクターを探す事が出来ると思いますが、
③、④、⑤で有れば、費用を出さなくても、知り合いの工務店に依頼すれば、無料でしてくれます。
私が考える買主様の「住宅診断」に対する期待項目は、①、②だと考えていますので、
その買主様のご期待に沿えるように、住宅診断に対する取組方、考え方を切磋琢磨しています。
今回は、これで終わります。