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何故「建物状況調査」が普及しないのか?

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今年の4月に宅建業法改正に伴うインスペクション業者斡旋の義務化がスタートしましたが、売買契約書及び重要事項説明の書類内容に項目が一つ増えたくらいで、後は何も今迄と変わっていないと言っても言い過ぎではないでしょう。

今回は、< 何故「建物状況調査」が普及しないのか? >についてお話をしてみます。

分かり易くお話をする為に、それぞれの立場で考えてみましょう。

売主(個人)から考えた場合

劣化事象が事前に分かっていても、それを補修して尚且つ自分から瑕疵担保責任を付けて売買する事は考えないでしょう。

何故ならば、
もし何か瑕疵が発見されて、それを補修する為の費用が発生した場合、

自分で賄える範囲の金額で有れば良心的に考えて支払う事が有るかもしれませんが、余裕が無ければどうする事も出来ません。

であれば、最初から瑕疵担保責任免責で売買が出来るので、そちらを選択するでしょう。

この様な考え方から、殆どが瑕疵担保責任免責で売買しますので、

「建物状況調査」をする必要性は無いに等しいと考えるでしょう。

売主(不動産業者)から考えた場合

売主が不動産業者の場合は、2年間の瑕疵担保責任が有ります。

「建物状況調査」の結果報告を重要事項説明時に買主に説明したとしても、

2年間の瑕疵担保責任から解放される訳では有りません。

この瑕疵担保責任とは
①雨漏り
②シロアリの害
③建物構造上主要な部位の木部の腐食
④給排水管の故障

この瑕疵担保責任を「既存住宅売買瑕疵保険」に加入の為の検査を受けて、付保証明書を買主の名義にして引渡しをすれば、

何か瑕疵が発生しても、不動産業者の負担が軽減されます。

つまり、何も付かない「建物状況調査」を実施するよりは、最初から「既存住宅瑕疵保険加入の為の検査」する方が得策と考えるでしょう。

買主から考えた場合

売主サイドで「建物状況調査」をした中古住宅で有ろうと

「既存住宅瑕疵保険」付保される中古住宅で有ろうと、

床下・屋根裏に入っての検査をしていない中古住宅は、安心性にかけている事に気付くでしょう。

仲介業者から考えた場合

仲介業者からすれば、2年後の民法改正の事を考えた場合は、

何の意味も持たない「建物状況調査」を実施するインスペクション業者を斡旋するよりも、

買主自身が自らの責任で、床下・屋根裏に入っての検査を含む「住宅診断」をインスペクターに依頼する事を、

買主に勧める事が得策になると気付くでしょう。


どうでしたか?

何故「建物状況調査」が普及しないのかが、お分かりになったでしょうか?

まだまだ民法改正がスタートする2年後迄は、試行錯誤の連続でしょうね。


今回は、これで終わります。